AIが自動で生成するルートのメリットとデメリット
自動床清掃ロボットは、AIの進化によって効率的なルートを自動生成する機能が向上しています。現在のAI技術は、指定されたエリアを隙間なく清掃するルートを短時間で作成できます。従来の手動設定(ティーチング)に比べ、設定作業が大幅に短縮され人の手をほとんど介さずに運用ができるのが最大のメリットです。
しかし、AIが作成するルートにはデメリットもあります。AIは指定されたエリア全体を隙間なくカバーために無駄な動きが発生することがあります。同じルートを何度も通過したり、スムーズにターンできない角度で曲がろうとすることがしばしば見受けられます。特に、正方形または長方形で指定できないエリアではこの問題が顕著です。もちろんAIで複雑な形状のエリアでもルートを作成することが可能ですが、結果として動きが不効率になる場合があります。
このようなAIルートのメリット・デメリットを理解し、必要に応じてティーチングによってルートを作成することが効率的かつスムーズな清掃作業が可能になります。
人の手でルートを作成する際の効率的な動きのポイント
手動でルートを作成するメリットは複雑な地形でも無駄なく効率的な動きを実現しマシンのスペックを最大限に活かすことができることです。ここでは効率的な清掃を実現するためのポイントをお伝えさせていただきます。
1,直線的な動きとスムーズなターンを意識する
効率的なルート作成において、直線的な動きを優先することとターンの数を増やさないことそしてスムーズにターンできる角度を意識することが重要です。極端に180度の切り返しを行うとロボットの動きが遅くなり、清掃効率が低下するだけでなく、洗浄機型のロボットでは残水のリスクが高まります。また、スクイジーブレードの消耗も早まる傾向があるため、できる限り緩やかなターンが推奨されます。
2,マシンのスペックを理解する
実際に運用するマシンのスペックを正確に理解することは重要です。以下のポイントを押さえることで、より最適なルート設計が可能になります。
・清掃幅 ルート作成時に、ロボットの清掃幅を理解することは、隙間なく清掃を行うために非常に重要です。清掃幅に基づいてルートを作成することで、効率よくエリア全体をカバーできます。
・曲がる角度 ルートを作成する際、ロボットがスムーズにターンできるために必要な幅と角度を考慮しましょう。特に、動きが止まらずに曲がれる角度を設定することで、無駄な動きを最小限に抑えることができます。
・ターンする向き 機種によっては推奨されるターンの向きがあります。例えば、テナント社のAMRシリーズでは、左回りに曲がる方が残水が少なく、スムーズにターンできるよう設計されています。これらの仕様をしっかり理解し、ルート作成に反映させることが大切です。
3. エリアを複数に分けて清掃する
広いエリアはなるべく複数に分けて作成することが理想です。なるべく細かく分ける方が効率よいルートが作成しやすくなります。また細かく分けたことで床面の状態によって清掃の頻度や回数の選択も可能となります。さらに商業施設などでは催事等により通常営業のフロアと形が異なるような事態があってもエリアを分割しておくことで臨機応変に清掃ルートを選択し、作業を実施することが可能になります。広いエリアを一度にティーチングすることは難易度が高く、修正や見直しすることが難しくなる上に先に説明したメリットを受けることができなくなります。
ティーチングの課題
ティーチングは手動で理想的な効率のよいルートを作成するための手法ですが、AIのように清掃幅の隙間を空けないよう作成することが難しい手法です。特に広範囲や複雑なエリアでは、隙間を空けずに無駄なく動かすためのティーチングは一層難易度が上がります。前回お伝えした安全であることを優先しながらも、効率的にルートを作成するための工夫が求められます。
次回は、ルート作成や機種の選択に悩んでいる方に向けて、弊社からの提案をお伝えします。
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